ドイツ語の発音から、綴りを間違えないコツを知る

ドイツ語
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どの言語を学習する際にも、単語や文法よりも先にまずは文字を覚えるところからスタートします。そして、未知の単語でも発音することが、英語と違ってすぐにできるようになります。

綴りについてまですでに知っている方は、「綴りを間違えないコツ」までジャンプしてください!

この記事では
・ドイツ語のアルファベット
・綴りと発音の対応
について学びます。

ドイツ語のアルファベット

日本語ならひらがな・カタカナ・無数の漢字、英語なら26種類のアルファベットの大文字小文字、アラビア語なら曲線が美しいアラビア文字というように、様々な文字があります。幸いドイツ語はアルファベットを用いる言語ですので、中学で英語を習ったことがある人ならば、違和感なく次の段階(文法、単語など)に進めます。

äとßを見て驚くa
äとßを見て驚くa

しかし注意していただきたいのは、英語で用いるアルファベットに数個だけ追加があるということと、アルファベットの読みが異なるものがあるということです。では早速紹介していきます!

アルファベット(おおよその)読み補足
A,aアー
B,bベー
C,cツェ―意外性あり
D,dデー
E,eエー
F,fエフ読みそのまま
G,gゲー
H,hハー
I,iイー
J,jヨット意外性あり
K,kカー
L,lエル(読みそのまま)
M,mエム(読みそのまま)
N,nエン
O,oオー読みそのまま
P,pぺー
Q,qクー(ドイツ語であまり登場しません)
R,rエルLとの違いは「巻き舌」があることです。
S,sエス(読みそのまま)
T,tテー
U,uウー
V,vファオ意外性あり
W,wヴェー
X,xイクス(ドイツ語であまり登場しません)
Y,yユプスィロン(ドイツ語であまり登場しません)
Z,zツェット
Ä,äアー・ウムラウト新出。
Ö,öオー・ウムラウト新出。
Ü,üウー・ウムラウト新出。
ßエス・ツェット新出。原則小文字のみです。
ドイツ語のアルファベット(ABC)

上の表をご覧になって分かるように、4つの新出文字の内、3つはA,O,Uの「焼き直し」に過ぎませんので、真新しい形のものは、ßのただ一つのみです。また、アルファベットの読みはほとんどのもので異なります。

以上から、ドイツ語の文字については他の言語(アラビア語など)ほど難しくはないことが分かりましたので、この段階でつまずく心配は小さく済みそうです。

ドイツ語の綴りと発音

ドイツ語の単語には発音に規則性(外来語を除く)があるため、お手本の発音を知らなくても発音練習がしやすく、またスペリングのミスをしづらくディクテーションの際にも聞こえたものをおおよそ綴りと対応させて書けばよいので、英語よりも少し難度は低くなります。

発音の原則としては、日本ではなじみ深いローマ字読みです。そこに少しローマ字とは異なる規則が少し加わるだけで、doesを「ダズ」、islandを「アイランド」、yachtを「ヨット」と読ませるような英語とは大違いです。

ドイツ語の発音の大原則
①多くの単語でアクセントは最初(非分離前つづり、外来語を除く)
②合成語は複数の単語の発音をそのまま別に読めばよく、くっ付けた発音はしなくてよい。
③細かい規則を除けば、ローマ字読み
母音の次のhのみが、発音をしない文字で、直前の母音を伸ばして発音する(長母音)合図となる。
⑤同じ母音が2連続で出てくるときは、長母音となる。

母音

綴り発音備考
auアォBaum (木;バォム)
ä エ、エーBär (熊;ベーァ)ä≒e、äは「ア」の口の形で「エ」の発音
äu、euオイheute (今日;ホイテ)「äu」「eu」を見たら「オイ」と言いましょう。
eiアイFreitag (金曜日;フライターク)「ei」は「エイ」ではなく「アイ」と言いましょう。
ie①イー
②イエ
①nie ((副)全く;二―)
②Familie (家族;ファミーリエ)
多くは①ですが、外来語で②のパターンが多いです。
öエ、エーhören (聞こえる;ヘーレン)
Köln (ケルン)
ö≒e、öは「オ」の口の形で「エ」の発音
Österreich(=オーストリア)もドイツ語圏です。
üユ、ユーfünf (5;フュンフ)üは「ウ」の口の形で「イ」の発音
→「ユ」のように聞こえます。
どれもよく出てきます。数は少ないのですべて身につけましょう。

子音

使い分けの境目として「語末」「母音」「s(,t)」といったようなキーワードに注目してください。子音の方は数が多いですが、少しずつ身につけましょう。

綴り発音備考
b①ブ
②プ
①Buch(本)
②gelb(黄色い),Obst(果物)
①原則
語末、s,tの前
ch①ヒ
②ハ
、ホ、フ
③ク
④シュ
①ich(私)
②acht(8;アト),noch(まだ;ノ),
auch(~も;アォホ),Buch(本;ブッ)
③Charakter(性格),Christ(キリスト)
④Chef(上司),Chance(機会;シャーンセ)
①原則
a,o,au,uの後[ハ行hの後でその母音に引きずられる]
③④は例外として覚えた方が、
共通テストの発音問題では役に立ちます。
chsクスsechs(6)
ckbacken(焼く)
d①ド
②ト
①Donnerstag(木曜日)
②Abend(晩)
①原則
語末
dsabends(晩に)
dtStadt(町)
g①グ
②ク
①gut(よい)
②Tag(日)
Guten Tag!で覚えられます。
①原則
語末
igイヒbillig(安い)ドラゴン桜の阿院修太郎(理科担当)の語尾
h①ハ
②無音
①Hund(犬)
②früh(早い;フリュー)
①原則
母音の後。母音を伸ばす発音になります。
jJunge(少年)…男性弱変化名詞英語のjの印象と全然違うので注意
quクヴQuelle(泉;クヴェレ)余計な「ヴ」があって慣れにくいですが、
数は少ないので個別に覚えましょう。
s①ス
②ズ
①Bus(バス)
②sieben(7),langsam(退屈な)
①原則
母音の前
※語頭で2文字目がt,pのときは注意
(以下sp,st参照)
ss,ßKlasse(授業),groß(大きい)ssかßかは単語ごとに覚えるしかないです。
不規則動詞の変化ではこの2つの間で変化することもあります。
schシュMenschen(人間)
sp①シュプ
②スプ
①sprechen(話す)
語頭
②原則
st①シュト
②スト
①Stadt
②gestern(昨日)
語頭
②原則
thBibliothek(図書館)
tiツィLektion(課)教科書によく出る単語です
tsnachts(夜に)
tschチュDeutsch(ドイツ語)ドイツ語を学習する上で「ドイツ語」は欠かせません(英語のEnglishのように)。
tzjetzt(今)
v①フ
②ヴ
①vier(4)
②Vase(花瓶)
①原則
②例外として覚えましょう
wWagen(車)外車で有名なVolks Wagenは「国民車」の意味
xクスExamen(試験)
zzwanzig(20)

綴りを間違えないコツ

単語の発音は覚えているのに、いざ単語を書いてみようとすると迷ってしまうことが外国語では多いです。そこで、ある程度綴りを間違えないための方法を紹介します。

シュ

子音の表を見ると、sch,sp,st(,ch)が該当します。備考で用法を確認すると、chは例外的な用法なので該当する単語以外除外します。そして、sp,stは語頭で「シュプ」「シュト」と発音する場合です。それ以外がschを使えばよいということになります。まとめると次のようになります。

「シュ」の綴り

①例外的な綴りのChef,Chanceでないか
語頭でかつ「シュプ」「シュト」ならば、それぞれsp,stの綴り
③それ以外はsch

実際の例を見ましょう。1つ目の例として「シュトゥデント」と書きたい場合を考えます。もちろん①ではありません。次に②を見ると「シュト」に当たりますのでstを使います。これでStudent(学生)と書けました!
2つ目の例として「シュヴィメン」と書きたい場合を考えます。①も②も当たっていません。なのでschを使います。よって、schwimmen(泳ぐ)となります。英語のswimに引きずられてswimmenと書かないように気をつけましょう。

ザ行

日本語のローマ字表記ではザ行がza,zi(ji),zu,ze,zoですが、ドイツ語ではそうなりません。例えば、Zahlen(数;ツァーレン)という単語を見てわかるように、zは「ツ」の音に当たります。では、代わりに何で表現するかというと、母音の前ではsを使います。Saft(ジュース;ザフト)のように書きます。

「ザ行」の綴り

s」を使う。日本語のローマ字に引きずられて「z」を使わないように。

ヤ行

これもまた、日本語のローマ字表記とは全然違うものになります。ローマ字では「y」が出てくるのに、ドイツ語では「y」はほとんど出番のない文字になります。何が出てくるかというと、全く予想もしていない「j」が出てくることになります。なんと、ローマ字では「ジャ」「ジュ」「ジョ」の「j」ですよ。

「ヤ行」の綴り

j」を使う。日本語のローマ字に引きずられて「y」を使わないように。

英語ではyoung(若い)であるのに、ドイツ語ではjungとなります。私たちが自己紹介するときにも使うJapan(日本;ヤーパン)にも出てくるため、押さえておきましょう。

アイ、オイ、イー、アォ

母音の方での注意すべき発音がここで役に立ちます。早速書いておきます。

「アイ」、「オイ」、「イー」、「アォ」の綴り

多くのケースで「ai」⇔「アイ」「eu」「äu」⇔「オイ」「ie」⇔「イー」「au」⇔「アォ」という対応関係にあります(もちろん例外あり)。

このようなことを知っておくと、「ドライ(3)」と綴る際にdraiと間違えることは無くなり、dreiと自然と書けるようになります。例外についてはごく少数しかないと思われますのでご安心を。1つだけ見たことのあるものは、Mai(5月;マイ)、英語でいうところのMayです(余談:「となりのトトロ」のメイ(May)とサツキ(皐月)はどちらも「5月」です)。

最後に

ドイツ語をすでに学習されている方には、アルファベットと発音の項目は不要ですが、もしかしたら「綴りを間違えないコツ」で何か収穫があったかもしれません。すでに知っていることを別の視点から見直してみることで新たな発見が見つかるということは、大変面白いことです。

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