【2021】東大差し替えドイツ語を差し替え成功者と見る

ドイツ語受験
この記事は約13分で読めます。

以前に2022年の東大差し替えドイツ語の解説記事を書きましたが、予想よりは見て下さる方が多かったため、2021の分も解説していきます。

差し替えドイツ語2022年についての詳細は以下の記事もご参照ください。

【2022】東大差し替えドイツ語を差し替え成功者と見る
2022年度の東大差し替えドイツ語の解答と解説を書きます。

問題

Ⅳ 次の文章を日本語に訳しなさい。

Von “Bildungsgerechtigkeit” konnte im Mittelalter und in der frühen Neuzeit keine Rede sein. Damals war es etwas Besonderes, guten Unterricht zu erhalten. Es gab noch keine Schulpflicht, die heute in vielen Ländern der Welt besteht. Der Schulbesuch war teuer und oft aufwändig, etwa weil die nächste Schule weit entfernt lag. Auf dem Land existierten so gut wie keine Schulen. Das Studium an einer Universität war nur für eine kleine Gruppe erreichbar.

Heute ist umstritten, ob das gesellschaftliche Ziel Bildungsgerechtigkeit erreicht ist, und was genau darunter zu verstehen ist. Seit 1948 nennt die Allgemeine Erklärung der Menschenrechte das Recht auf Bildung als Menschenrecht. Alle Kinder, Jungen und Mädchen, sollen unabhängig von ihrer Herkunft zur Schule gehen dürfen.

注) Allgemeine Erklärung der Menschenrechte: 世界人権宣言


(A) 設問 a)~d)の各文をかっこ内の指示に従って、ほぽ同じ内容の文に書き換えなさい。

a) Er ist nicht so alt wie mein Vater.
(比較級を用いて)

b) Das Buch ist nicht leicht zu lesen.
(manを主語に)

c) Es gibt fast niemanden, der alle Aufgaben gelöst hat.
(kaumを用いて)

d) lch habe endlich ihren Freund kennen gelernt. Sie hatte mir so viel über ihn erzählt.
(2番目の文を関係文に)

(B) 設問 e)の日本語に相当するドイツ語の文を作りなさい。与えられた語句をすべて用い、必要な場合は語形を変化させなさい。ただし、与えられていない語句を用いてはいけません。

e) 明日遠足に行けるかどうかはお天気次第です。
 ankommen, auf, das Wetter, ein Ausflug, es, können, machen, morgen, ob, wir

解答

Ⅳ 独文和訳

1文ずつ訳していきます。便宜的に番号を付しておきます。

(1) Von “Bildungsgerechtigkeit” konnte im Mittelalter und in der frühen Neuzeit keine Rede sein.

最初から”Bildungsgerechtigkeit”という長くてよく分からない単語が出てきました。ドイツ語の長い単語は一定のまとまりごとに分割するとよくて、”Bildung”(教育), “Gerechtigkeit”(公平・正義、英:justice)に分けられそうです。それでもGerechtigkeitは注釈無しでは厳しいと思われますが…

ここで出てくる重要な熟語としては、”von+3格 kann keine Rede sein“(~は話にならない)がある。なお、”von+3格 die Rede sein“(~が議論の対象になっている)という表現もあります。

「教育の公平性」が中世と近世では議論の対象にはなりえなかった。

(2) Damals war es etwas Besonderes, guten Unterricht zu erhalten.

形式主語esを用いて、zu不定句を意味上の主語にする構文です。esが出てくる和訳は、英語のitでもそうですが、多くの場合形式主語として答えさせたい傾向が強いですので、後半部分にzu不定句や疑問詞句がないか要確認です。

良い授業を受けることは、当時は特別なものであった。

Q
[補足]なぜこの文章は”Damals war es besonder,…”とは書くことができないか
A

形容詞には述語的用法と形容詞的用法があり、besonder(特別な)という形容詞は形容詞的用法のみにしか使えないため、述語的に使いたければ、”etwas”と共に名詞的用法にしなければならないわけです。

形容詞の述語的用法と形容詞的用法

述語的用法…「(モノ)は~である」と書く用法。例:Das Haus ist neu. (この家は新しい)
形容詞的用法…「~な(モノ)」と書く用法。例:Das ist ein neues Haus. (これは新しい家である)

ほとんどの形容詞ではどちらも使えますが、例外的に片方しか使えないものも存在します。

(3) Es gab noch keine Schulpflicht, die heute in vielen Ländern der Welt besteht.

単語で気になるのは”Schulpflicht”ですが、長い単語は分割するという原則に基づけば、「学校」+「義務」なので「義務教育」ということになります。
また、動詞”bestehen”をどのように訳すかという問題もあります。
①~に合格する、打ち勝つ〈他動詞〉
②構成される、組織される〈自動詞〉

文を見ると、前半は“es gibt 4格”(~が存在する)の過去形、後半は“Schulpflicht”を説明する関係代名詞の部分という作りになっています。

今日では世界の多くの国で組織されている義務教育が、まだ存在しなかった。

(4) Der Schulbesuch war teuer und oft aufwändig, etwa weil die nächste Schule weit entfernt lag.

似ている形容詞が並んでいるところが訳す際に注意です。
teuer…(買う買わないにかかわらず)値段が高い
aufwändig…(買って)お金がかかる

遠いことを表す副詞的用法として”weit entfernt“(遠く離れて)というものがあり、熟語として覚えることをオススメします。他には、Schulbesuchは、Schule(学校)とbesuchen(~を訪れる)の合成。lagはliegenの過去形で不規則変化でお馴染みです。

通学は費用が高く、最も近い学校が遠く離れて位置しているなどから、お金がかかった。

(5) Auf dem Land existierten so gut wie keine Schulen.

so gut wie“(~も同然)は比較表現から派生した熟語です。

“existieren”についてですが、ドイツ語ではよく外来語の動詞”-ieren”をつけて、ドイツ語の動詞として用いることがあります。例えば、existieren←exist(存在する)、studieren←study(研究する・勉強する)というように、簡単な英語が分かっていれば、意味も分かります。なお、過去分詞を作る際に頭に”ge-“をつけないことには注意しましょう。

Land(n.複数でLänder)の複数の意味にも注意しましょう。
①土地、陸 ②国、州 ③田舎
ここでは、学校の有無について述べられていて、国内に存在自体はすることが(4)でいわれているため②は違うと考えられて、(4)のように学校の数が少ないことから、田舎では尚更皆無に等しいであろうと考えられます。

田舎では、学校は存在しないも同然であった。

(6) Das Studium an einer Universität war nur für eine kleine Gruppe erreichbar.

Studiumの意味は、Universitätでのものから「教育」と推測できます。

大学での高等教育は、小さな集団でのみ手の届くものであった。

(7) Heute ist umstritten, ob das gesellschaftliche Ziel Bildungsgerechtigkeit erreicht ist, und was genau darunter zu verstehen ist.

umstritten“は「議論の余地がある・論争を引き起こす」という意味。

もちろんHeuteが主語になるはずもなく、主語は後ろにある長い部分(ob以降)です。

主語の前半部分(ob das gesellschaftliche Ziel Bildungsgerechtigkeit erreicht ist)では、現在完了なのか状態受動(wordenの代わりにsein、動作をされっぱなし)なのか考えてみます。9割がた現在完了が出てくる印象ですが、まれに状態受動が出てくるので侮れません

まずはメジャーな現在完了の場合を考えます、das gesellschaftliche ZielとBildungsgerechtigkeitのどちらがob節内での小主語になって、もう片方が目的語になるのか。これ以上は形のみでは可能性が絞れません。
意味で考えてみます。erreichen(~を達成する、~に届く)の目的語としてよさそうな方を選ぶとしても、どちらも「達成すべき対象」という感じですので選べません。

どちらも「達成すべき対象」という感じから、2つの単語が同格(「AというB」,A=B)のものであって、それが主語(=動作を受けるもの)となる状態受動という線が出てきました。実際に訳してみてもこちらの方が良さそうなので、まれな場合となりました。深く考えるほど難しい箇所かもしれません。

主語の後半部分(was genau darunter zu verstehen ist)も構文が難しいですが、”sein zu+不定詞“(~されうる、されなければならない)という受動的な表現を見出すことができれば、見通しはかなり良くなります。(※英語での”be to~”という表現は別の意味なので注意!)

教育の公平性という社会の目標が達成されているのかどうか、そして正確にはそのもとで何が理解されなければならないのかが、今日でも議論になっている。

Q
[補足] “und”が用いられている主語が、複数でなく単数扱いになるのはどうしてか?
A

解答に関係のない部分ですが、全体で1つの概念を表していることを強調するための例外的用法です。
英語の複合主語について検索したら次の記事が出てきましたので、参考にどうぞ。

この主語は単数?複数?複合主語 A and B / not A but B, etcと動詞の一致の簡単判別法はこれだ! | まこちょ英語ブログ (makocho0828.net)

主語「A and B」「A or B」(複合主語)に一致する動詞は単数形?複数形?│英語の殿堂 (ryoukou-hibi.com)

(8) Seit 1948 nennt die Allgemeine Erklärung der Menschenrechte das Recht auf Bildung als Menschenrecht.

“nennen”は「AをBと名付ける」でお馴染みですが、ここでは目的語が1つであるため「~に言及する」という用法が良いと考えられます。

1948年より、世界人権宣言は教育の権利を人権として言及した。

(9) Alle Kinder, Jungen und Mädchen, sollen unabhängig von ihrer Herkunft zur Schule gehen dürfen.

abhängig von“で「~に依存して、左右されて」という意味。助動詞は義務のdürfenと、(主語と違う)他者の意志を表すsollenが併用されています。訳す際は後者の他者の意志の意味合いを日本語にすることは不可能であり、仮に行ったとしても不自然になるため、無視しました。

すべての子供、少年少女は、出自に関係なく学校に行かなければならない。

Ⅴ 文法

毎年、文法の書き換え問題並べ替え問題が出てきます。今回は(a)~(d)は書き換え、(e)が並べ替えになっていました。

(a) Mein Vater ist älter als er.

比較級の問題。
同等表現の否定”A ist nicht so ~ wie B” というのは、A≠Bではなく、A<Bという意味になるため注意しましょう。

また、形容詞の比較級変化ですが、次の特徴があります。

形容詞の比較級・最上級変化

①比較級は”-er“、最上級は”-[e]st
a,o,u(除au)を含む1音節の形容詞では、母音がウムラウトになる。
③gut,viel,groß,nah,hochは不規則変化する。

(b) Man kann nicht leicht das Buch lesen.

大問4(7)でもでてきた”sein zu+不定詞“(~されうる、されなければならない)という表現が、
Das Buch ist nicht leicht zu lesen. (この本は簡単には読まれない。)
でも使われています。解答では、元の文章では隠されていた動作主が主語になる際にmanが出てきます。

同じ試験で2回もこの構文が問われるということは、かなり重要視されているのでは?という推測もできますので、この際に身につけましょう。

(c) Es gibt kaum jemanden, der alle Aufgaben gelöst hat.

fast(ほとんど~)から、kaum(ほとんど~ない)への書き換えなので、niemandenから否定要素を除いたjemandenに変えましょう。

(d) Ich habe endlich ihren Freund, über den sie mir so viel erzählt hatte, kennen gelernt.

一瞬、ihren Freundのihrenにsieをつなげるのか?と混乱しましたが、ihren Freundにihnがつながると分かったので、関係代名詞の定石通りに書き替えます。

Sie hatte mir so viel [über ihn] erzählt.
über ihnでセットになっているため、関係代名詞でihnからdenに変えて、über denのまとまりで前に持ってきます。定型後置の原則から、hatteを最後に送ることを忘れないようにしましょう(以下、注意)。

定型後置への書き換えでありがちな間違い

①動詞の位置をそのまま変えない。
②動詞を後回しにするところまではよかったものの、最後に動詞を書き加えることを忘れてしまう。おそらく、元の文章での最後の単語を書き写し終えて満足してしまうことが原因と考えられます。

(e) Es kommt auf das Wetter an, ob wir morgen ein Ausflug machen können.

「~次第である」という表現はよく出てきます。どちらも分離動詞です。
von (3格) ab|hängen
なお、形容詞では”abhängig von”というものが、大問4(9)で出てきましたので、重要表現であることが伝わるでしょう。
auf (4格) an|kommen

ついでに”an|kommen”には全く異なる2つの用法があることを見ましょう。
①到着する
②<auf+4格を伴って>~次第である

構文としては、何度も見かける形式主語のものが出来上がります。「明日遠足に行けるかどうか」という長い主語は後半に置きたいというのと、語群にesがあることから、形式主語という選択肢がすぐに浮かぶようにしましょう。

タイトルとURLをコピーしました