2023年も差し替えドイツ語の問題が手に入ったので、解いていこうと思います。
2022年度のものはこちらです。
問題
Ⅳ 次の文章の下線部を日本語に訳しなさい。
(下線部有りの段落)Im taglichen Leben bezeichnen wir oft etwas, was wir für wenig Geld bekommen haben, als “preiswert”. Wer die Sprache etwas sorgfältiger verwendet, ist sich jedoch bewusst, dass dieses Wort nicht die Kleinheit des aufgewendeten Geldbetrages, sondern das Verhältnis desselben zum erworbenen Vorteil bezeichnet. Preiswert ist etwas, was seinen Preis wert ist, oder, im gesteigerten Sinne, was einen höheren Wert hat, als sein Preis anzeigt.
(下線部無しの段落)Wenn ein Apfel einen Euro kostet und ein anderer, gleich großer Apfel achtzig Cent, kann es sein, dass der erste Apfel preiswerter ist als der zweite, weil er zum Beispiel frischer ist oder besser schmeckt.
(下線部有りの段落)Ob etwas preiswert ist, hängt aber nicht nur von der verkauften Sache und ihrem Preis ab, denn wer wenig Geld hat, kauft sich vielleicht lieber den billigeren Apfel, während ein anderer, der mehr hat, den frischeren vorzieht. Sowohl der Preis als auch der Wert unterliegen nämlich der subjektiven Einschätzung.
Ⅴ
(A) 設問 a), b), c)の各文を、かっこ内の指示に従って、ほぼ同じ内容の文に書き換えなさい。
a) Lisa konnte ihre Eltern beide auf dem Handy nicht erreichen.
(weder… nochを使って)
b) In Zukunft ist es notwendig, dass man noch mehr Energie spart.
(話法の助動詞を用いた文に)
c) Sie fragt ihren Mann, ob er seine Schuhe geputyt habe.
(間接疑問文を直接話法に)
(B) 設問 d), e)の日本語に相当するドイツ語の文を作りなさい。与えられた語句をすべて用い、必要な場合は語形を変化させなさい。ただし、与えられていない語句を用いてはならない。
d) あなたの助力がなければ、その課題を解決することはできなかったでしょう。
die Aufgabe, haben, Hilfe, ich, Ihr, können, lösen, nicht, ohne
e) 私のコンピュータを修理してもらった。
Computer, haben, ich, lassen, mein, reparieren
解答
Ⅳ 独文和訳
今年は下線部で限定しているところが違いました。試験では解く範囲を見落としてすべて訳してしまって、時間を失うことにならないように注意しましょう。
1文ずつ訳していきます。便宜的に番号を付しておきます。
(1) Im taglichen Leben bezeichnen wir oft etwas, was wir für wenig Geld bekommen haben, als “preiswert”.
“was ~”が、”etwas”の関係詞として働いていることはよいとして、ここで問題となったのは、”et4 als et4 bezeichnen“です。これは「AをBと名付ける、呼ぶ」という意味です。英語でいうところの”call O C”, “name O C”であり、O=Cという関係になりますが、ドイツ語ではalsが入ってます。
“preiswert”の意味が分からない私は、今回ではAにあたるものが「少ないお金で手に入れられたもの」であるため、BはAと等しい内容でかつ簡単な言葉が妥当であると判断して、Bにあたる”preiswert”は「セール品」のような言葉を選びました。
日常生活の中で私たちは、少ないお金で手に入れられたものを「お買い得品」と呼んでいる。
(2) Wer die Sprache etwas sorgfältiger verwendet, ist sich jedoch bewusst, dass dieses Wort nicht die Kleinheit des aufgewendeten Geldbetrages, sondern das Verhältnis desselben zum erworbenen Vorteil bezeichnet.
今度はしばらくピリオドが出てこない長い文章ですので大変です。しかも知らない単語がいくつもありましたので試験であったらどうしようもできません。ですが何もしない訳にはいかず、手掛かりを掴むとなれば、“dass”で分断することと、”nicht ~, sondern ~“になるでしょう。
“sorgfältiger”(慎重に), “auf|wenden”(費やす), “Geldbetrag”(金額), “Verhältnis zu ~”(~との関係), “erwerben”(手に入れる), “bezeichnen”(~を意味する)
という単語が分からないと訳せませんし、直訳したところで最初は「?」となるような文章ですが、後を読み進めていくと納得がいきます。
ちなみに”desselben”は”derselb”の男性2格の形ですが、2格で用いられることは無いと文法書には書かれております。訳さなくて問題ないです。
言葉を慎重に使う人は、この言葉(”preiswert”)は費やされる金額の小ささではなく、手に入れた利益との関係を意味するということを分かっている。
(3) Preiswert ist etwas, was seinen Preis wert ist, oder(, im gesteigerten Sinne,) was einen höheren Wert hat, als sein Preis anzeigt.
2通りの”was”が、先行詞の”etwas”について説明しています。難しいところは”gesteigert”の意味です。2つの関係詞の部分に注目すると、1つ目は「価格がふさわしい」とはっきりしない言い方であったところが一転、2つ目では詳しく書かれています。するとどんな言葉が良いか見えてくるかもしれません。
“Preiswert”とは、価格がふさわしいもの、あるいははっきりした意味で、価格が示されたとき高い価値を持つものである。
(傍線外)「リンゴが1ユーロ、同じ大きいリンゴが80セントかかるとき、例えば1つ目のリンゴがより新鮮であったり美味しかったりするという理由で、1つ目の方が2つ目よりもお買い得であることがある。」
(4) Ob etwas preiswert ist, hängt aber nicht nur von der verkauften Sache und ihrem Preis ab, denn wer wenig Geld hat, kauft sich vielleicht lieber den billigeren Apfel, während ein anderer, der mehr hat, den frischeren vorzieht.
全体では長い文章ですが、理由を付加する接続詞”denn”によって、前半と後半を分断することができます。さらに後半部分は対比を表す従属接続詞”während”(~する一方で)で二分することができます。
ところでなぜ「対比」を強調したのかというと、während ein anderer, der mehr hat, den frischeren vorziehtという文では省略されている単語があるため、それが分かっていないと意味が分からなくなるからです。対比の1つ目から意味を補うと、
während ein anderer(人) [, der mehr (Geld) hat,] den frischeren (Apfel) vorzieht
という感じになります。また”vor|ziehen“の意味が分からなくても、対比によって「~の方を好む」と推測することができます。
お買い得であるかどうかは、売られているものとその価格のみに依存しない。というのも、別のよりお金を持っている人がより新鮮な方を好む一方で、お金を少ししか持っていない人はおそらくより安いリンゴを好んで買うからである。
(5) Sowohl der Preis als auch der Wert unterliegen nämlich der subjektiven Einschätzung.
相関的接続詞”sowohl A als auch B“(AもBも)が目立ちます。
“et3 unterliegen“は「~次第である」という意味で、同じ意味の分離動詞の表現もこの機会に抑えておきましょう。
①von (3格) ab|hängen
なお、形容詞では”abhängig von”というものがあります。
②auf (4格) an|kommen
価格も価値も、見ての通り主観的な評価に左右されている。
Ⅴ 文法
毎年、文法の書き換え問題、並べ替え問題が出てきます。今回は(a)~(c)は書き換え、(d), (e)が並べ替えになっていました。
(a) Lisa konnte weder ihren Vater noch ihre Mutter auf dem Handy erreichen.
(リサは父にも母にも[両親ともに]携帯電話で連絡できませんでした。)
相関的接続詞は本当によく出題されます。”ihre Eltern beide ~ nicht”(両親はどちらも~ない)であるから、2つを並列して否定する”weder A noch B“を用います。
注意点として、この構文に「否定」の要素が入っているので”nicht”を除去するのを忘れないようにしましょう。外し忘れると「カレーライス、ご飯付き」のようなおかしい表現になります。
(b) In Zukunft muss man noch mehr Energie spart.
(将来には、ますますエネルギーを使うことが必至である。)
「形式主語+形容詞」を助動詞に書き換える問題です。”notwendig”は「必要不可欠な」という意味の形容詞であるため、助動詞として義務を表す”müssen”を使うとよいと判断しました。
(c) Sie fragt ihren Mann: “Hast du deine Schuhe geputzt?”
(彼女は夫に「君は靴を磨いたのか?」と尋ねた。)
間接話法→直接話法の書き換えです。『ドイツ語練習問題3000』を使用している人は、直接話法→間接話法の書き換えには慣れていますが、その逆の問題は収録されていないため、解答の間接話法から問題の直接話法に直すことができるかやってみると勉強になります。
(d) Ohne Ihre Hilfe, hätte ich die Aufgabe nicht lösen können.
(あなたの助力がなければ、その課題を解決することはできなかったでしょう。)
非現実話法です。「~できる」という内容に「~した」という完了の要素を加えるので、habenの方を接続法2式の形で前に出します。könnenについては、助動詞・使役動詞・知覚動詞の過去分詞は(単独用法を除いて)原形ですのでそのままです。
(e) Ich habe meinen Computer reparieren lassen.
(私のコンピュータを修理してもらった。)
使役動詞の”lassen”を現在完了で使っています。使役動詞では「…に~させる」という訳が主にみられて、「…に~してもらう」という状況でも使われることは盲点であったかもしれません。さらに助動詞・使役動詞・知覚動詞の過去分詞は(単独用法を除いて)原形です。
2023差し替えドイツ語まとめ
大問Ⅴを見ると文法の学習が非常に重要であり、反復練習がモノを言うことがわかります。大問Ⅳは近年語彙が非常に難しくなっているため、独検対策レベルのものに加えて、英語の問題でよく出てくる表現がドイツ語では何というのか調べてみるという学習も必要かもしれません。