【2024本試】共通テストドイツ語を差し替え成功者と見る

ドイツ語受験
この記事は約13分で読めます。

第6問 物語

共通テストドイツ語の物語を読み始める前に

  • 問題文の日本語を見るなどして、登場人物や場面を大まかに把握しておく
    • 最初から本文を読むと、しっくりこないかもしれません。
  • 出来事の順番について用心する
    • 問1で順番が問われるため。また、順番を決定できれば自然とあらすじが(ほぼ)完成する問題設計になっているから。

問1 出来事の順番に並び替える

Der Mann mit dem Gedächtnis
  • 基準
    Viele Reisende fragen den Mann nach ihren Zügen.

    多くの旅客の間で「なぜか列車の時刻に詳しいオジサン」として有名に

  • Das Auskunftsbüro wird im Bahnhof eröffnet.

    話の鍵になる社員のいる窓口が開いて、物語が始まります。

  • Der Mann fragt den Bahnangestellten nach den Fahrzeiten der Züge.

    オジサンはどういう訳か駅社員に知識試しを行うことに…

  • Der Mann vergisst alles, was er über die Fahrzeiten der Züge weiß.

    (社員には完璧に答えられた[→問5の選択肢①]後)オジサンは列車時刻について知っていることをすべて忘れました。

  • Der Mann fragt den Bahnangestellten, wie viele Stufen die
    Bahnhofstreppe hat.

    何としても社員に間違えさせたいオジサンは駅の階段の段数を尋ねるという卑怯な戦術に出ました。

  • Der Mann zählt die Stufen der Bahnhofstreppe.

    段数を数えた… あれ、答えを用意する前に問題を出したのか?!

  • Der Mann fährt in andere Städte, um die Treppenstufen zu zählen.

    誰も調べようがなく分からないことを、電車で他の町へ探しに行きました[→問5の選択肢⑥]。

今回の物語は、登場人物が自分以上の変わり者で何時にも増して理解が難しかったです。並べ替えは基準が最初になっていたためヒントが少なく、また選択肢だけでは物語全部の要約にもならない仕様で解きにくかったです。④→①という順番が不自然に感じたのは私だけでしょうか。

問2
㊵を含む段落を見ます。
Er selbst fährt nie mit einem Zug. „Das brauche ich nicht”, sagt er, „denn ich weiß ja schon, wann alle Züge ankommen. Nur Leute mit schlechtem Gedächtnis fahren Zug. Denn Leute mit gutem Gedächtnis können sich die Abfahrts- und Ankunftszeit merken und müssen nicht fahren, um die Zeit zu erleben.”
その男は、「私は列車で行く必要ない」と言った後に「記憶力の悪い人だけが列車で行く。というのも記憶力の良い人は出発時刻・到着時刻を記憶でき、その時刻を経験するために乗車する必要が無い」と言っています。これだけでは判断が難しいので選択肢もよく見てみます。
★語句
・Gedächtnis:記憶
・müssen nicht:~する必要が無い
 ※英語のmust not (禁止)とは違い、単にmüssen (義務)を否定するだけ
・erleben:経験する

① Weil er mit seinem guten Gedächtnis gern Zeit und Geld sparen möchte. 「記憶力の良い人は時間と金を消費したがるから」
② Weil er sich die Zugfahrzeiten noch nicht merken kann. 「時刻を記憶できないから」
③ Weil er nur die Kenntnis der Zugfahrzeiten wichtig findet. 「時刻の知識のみが重要であると考えているから」
④ Weil er im Zug keine Zeitung lesen kann. 「列車で一切雑誌を読めないから」

あくまで列車に乗ることは出発時刻を確かめるための手段に過ぎず、乗るか乗らないかは記憶力の有無が関わってきていることからが正しいと推測できます。直接の言及がないため、選ぶのが難しかったです。

問3
㊶を含む段落を見ると
Da macht der Mann Luftsprünge vor Freude und ruft: ㊶“Er weiß es nicht, er weiß es nicht.”
となっており、喜んでいることが分かるのでが正解です。

問4
この問題は非常に難しく間違えました。全体を捉えた上で暗示されている内容を読み取る必要がある問題は、非常に時間がかかる上に間違える危険もあるため、試験では捨て問題寄りです。
①③のようにマニアックな知識を記憶するということは分かるかと思いますが、他の選択肢の判断が難しいです。時間が無ければ、明らかに違うもの以外で勘で答えるということも有効です。今回の場合、1/4の確率から1/2の確率に上がった状態で答えられます。

残りの選択肢は、②「興味の対象に多くの時間を注ぐ」と、④「人の役に立たないことをあえて記憶する」が残りました。どちらも書かれていないことなので正しくないと思われますが、どちらの方が文章とは正反対で不適切なのか、という視点で考えるとがより不適切になると考えられます。なぜなら文章冒頭で、オジサンが旅客に列車時刻の知識を尋ねられて答えた結果、旅客の方は助かっていることになるからです。

適当でないものを選べ」という問題の対処

①文章で書かれた内容と正反対の選択肢
②文章で書かれていない選択肢
優先順位は①→②

問5 内容一致
②~⑤は日本語の文に対応するドイツ語の単語が見当たらないので、①⑥が正解です。問1のあらすじも参照。
②:「暇がある」が見当たらない
③:「リューベック」「プラハ」が見当たらない
④:「仕事を奪われ」と書いてあるが、別に仕事はしていない
⑤:「本を作りたい」とは書かれていない
2つマークすることに注意1つのみマークして間を空け忘れると以後の回答欄がずれます

第7問 記事

評論では1段落ごとに1つの問題があることが多く、その中心的な内容を段落ごとにまとめながら読み進めていくと、内容についていけなくなることが少なくなります。

時間が無いときには、段落ごとの最重要文章を見つけるために、müssen“(「義務」),”sollen“(「要請」など),”wichtig“(重要だ)などが含まれる文章を探すとよい可能性が高いです。

<第1段落抜粋>
Jonte(13歳、ブレーメン)は、ミツバチがより多くの栄養源を見つけられるように助けたく、古いガムの自動販売機を、花の種子の自販機に改造している。
ガムではなく昆虫に優しい混合種子を自宅で庭にまくと、庭がミツバチが居心地の良い花の海になる。

★語句
・jm3 helfen+zu不定詞:~が…するのを助ける
・Nahrung:栄養
・Automaten:自動販売機 ・Kaugummi:ガム
・um|bauen:~を改造する
・den Hebel drehen:レバーを回す
・sich wohl fühlen:気分が良い

問1
Jonte will Bienen helfen, indem er 45 .
indemは「~している間に」という意味なので、Jonteがミツバチを助けるのに何をしているのかが聞かれています。大まかに第1段落を読むと、自販機に種子入りのカプセルを入れたことが分かるので、選択肢の中ではが適切です。直接的な表現ではないので少し難しかったのではないでしょうか。

① Samen für bienenfreundliche Pflanzen verkauft 「ミツバチに優しい植物の種を売る」
② die Bienen aus den Kaugummi-Automaten befreit 「ガムの自動販売機からミツバチを解放する」
③ Geld aus dem Automatenverkauf an die Bienenhalter spendet 「自販機の売上金を養蜂家に寄付する」
④ für die Automaten umweltfreundliche Kapseln benutzt 「自販機のカプセルは環境に優しいものを使用している」

問2
Das Besondere an Jontes Automaten ist, dass 46 .
Jonteの自販機の特徴について聞かれています。自販機をガム用から種子用に変えたことが最大の特徴ですので、が正解です。
私は第2段落(後述)で「中古の自販機をオンラインで購入した」と書かれていることにつられて②を選んで間違えましたが、改造後の現在のJonteの自販機の特筆すべき特徴としては「種子用」ということになります。また①も紛らわしいですが、第4段落で「種子は企業から無料て手に入る」ということですので誤りです。

① man sie bei Firmen kostenlos bekommt 「企業から無料でもらえる」
② man sie direkt online bestellen kann 「オンラインで直接注文できる」
③ man darin Bienen halten kann 「ミツバチがその中で飼える」
④ man statt Kaugummis Blumensamen bekommt 「ガムの代わりに花の種が手に入る」

<第2段落抜粋>
Jonteがその考えをどうやって思いついたのか?「7歳のころ参加した養蜂家の講座で、ミツバチを飼いたいと思って色々学んだ。2年前にはフリーマーケットで中古のガムの自販機を見て、これを花の種子のために使おうと考えついて、オンラインで購入した。それを改造して昨年に玄関前に置いた。」

★語句
・faszinieren:~を魅了する(事が主語、人が目的語)
・interessieren:~を興味を持たせる(事が主語、人が目的語)
・auf die Idee kommen/ auf den Gedanken kommen:考えを思いつく
・bestellen:購入する

問3
Auf den Gedanken, die alten Automaten umzubauen, kam Jonte, als er 47 .
alsは「~した時」を表す接続詞ですので、Jonteが自販機を改造しようと考えついたのは、いつであるかが聞かれています。これはほぼ直接第2段落に書かれていますので、が選べます。

① mit sieben Jahren an einem Kurs für Bienenhalter teilgenommen hat 「7歳のときに養蜂家のための講座に参加した」
② viele Bücher über Bienen gelesen und vieles gelernt hat 「ミツバチに関する本をたくさん読み、多くを学んだ」
③ auf einem Flohmarkt einen alten Automaten gesehen hat 「フリーマーケットで古い自動販売機を見た」
④ im Internet einen Kaugummi-Automaten gefunden hat 「インターネットでチューインガムの自動販売機を見つけた」

<第3段落抜粋>
「ドイツには500種より多くのミツバチ種が存在する。街には栄養源がとても少ないので、その多くが絶滅の危機に瀕している。というのも人間がミツバチの必要とする植物を庭に持っていないからである。ミツバチは他所の植物は簡単に受け入れられないため、地域の種だけを自販機で売ることが重要です。」

★語句
・vom Aussterben bedroht:絶滅の危機に瀕する(bedrohen:~を脅かす)
・fremd:他所の、外国の

問4
Jonte will in den Automaten nur Samen aus der eigenen Region verkaufen, weil 48 .
Jonteが固有の地域からの種子しか自販機で売らない理由を選びます。
これは、第3段落で”Darum ist es wichtig, ~”で始まる部分が根拠ですが、”wichtig”(重要だ)という語句が入っているため、目につきやすいでしょう。が正解です。「よその植物は好まない」→「地域の種の花を好む」という読み替えが必要でした。

① die Samen aus anderen Regionen viel mehr kosten 「他の地域の種は値段が高い」
② die Firmen nur die regionalen Samen kostenlos anbieten 「企業が無料で提供するのはその地域の種だけである」
③ die Bienen lieber Blumen aus regionalen Samen mögen 「ミツバチはその地域の種の花を好む」
④ die Samen aus anderen Regionen meistens ausverkauft sind 「他の地域の種はたいてい売り切れている」

<第4段落>
Jonteはこの考えで大成功した。種子のカプセルはいつもすぐに売れる。現在では、種子を無料で入手できる会社もある。彼はその収益を自然保護団体に寄付している。定期的にすべてのカプセルに種子を詰めるのは大変な作業だが、彼はこれからも種子の自販機に取り組みたいと考えている。

★語句
・inzwischen:その間に、現在では
・die Firma:会社(複数形はFirmen)
・mit et3 befüllen:~を詰める

問5
Den Erfolg von Jontes Idee kann man daran erkennen, dass 49 .
et4 [an et3] erkennen“が「[…で]~を認識する」という意味になることを押さえておかないと難しいです。ということで、この問題ではJonteの成功は世間でどのようなことで認識されているのかが聞かれています。ただ実際は内容一致であるので「種子のカプセルはいつもすぐに売れる」というところからが正解になります。私は難しく考えて①を選んでしまいました。

① viele Bienenarten schon jetzt nicht mehr vom Aussterben bedroht sind 「多くのハチ種が絶滅の危機に瀕することはなくなった」
② auf dem Flohmarkt viele Samen-Automaten verkauft werden 「フリーマーケットでは多くの種子の自動販売機が売られている」
③ immer mehr Menschen alte Automaten bei Firmen kaufen 「古い自動販売機を企業から買い取る人が増えている」
④ die Kapseln mit Samen gerne gekauft werden 「種の入ったカプセルは喜んで買われる」

問6 内容一致
は第3段落・問4で問われている部分から正しいと分かります。
②は「昆虫を救う」ことが書いてないので誤り。
③は「花を守る」ということが目的ではなく、ミツバチの居場所を確保する手段となります。
④は「協力者を探している」とは書かれていないので誤り。

問7 文章のタイトルを決める問題
Jonteの活動の目的はミツバチを居場所を守ることですので、が正解です。

① Jontes Projekt „Mehr umweltfreundliche Kaugummis” 「もっと環境にやさしいチューインガム」
② Jontes Projekt „Mehr bienenfreundliche Lebensräume” 「ミツバチにやさしい生息地を増やす」
③ Jontes Projekt „Mehr Spenden für den Umbau der Kaugummi-Automaten” 「チューインガム自販機改造のための寄付をもっと増やそう」
④ Jontes Projekt „Mehr insektenfreundliche Samenkapseln statt Kapseln aus Plastik” 「プラスチックカプセルではなく、昆虫にやさしい種子カプセルを増やそう」

まとめ

去年に引き続きかなり難しい問題でした。語彙レベルが高く分量が多いのみならず、解答根拠が分かりづらいものが多かった印象を受けます。共通テストの平均点の中間発表によると下の表のようになりましたが、ドイツ語とフランス語が明らかに点数が低いです。ネイティブの人数もそこまで多いわけでもないのに、これでは忙しい受験生が英語以外に勉強しているメリットが少ない(英語とわずか5点差)のでもう少し簡単になることを期待しています。
現状では、英語がどうしても上達しなくて困っている人にはドイツ語に手を出すことを勧められますが、共通テストの英語で9割を超えるような人はわざわざ時間を割いて手を出すメリットもありません。

科目平均点
英語(合計)121.78
ドイツ語127.29
フランス語127.21
中国語171.81
韓国語148.70
令和6年度大学入学共通テスト(本試験)平均点等一覧(中間集計).pdf (dnc.ac.jp)より
タイトルとURLをコピーしました