時代錯誤社(東大の出版サークル)によって各学期開始前に発行されている「逆評定」。東大生で知らない人はいないでしょう。一般に言われている名前としては鬼仏表になるのでしょうか。
※鬼仏表とは、学生が履修した授業を評価し、そのアンケート結果がまとめられた本のことです。大阪大学では「クロバス」、早稲田では「マイルストーン」、慶応では「リシュルート」として売られています。
私も履修計画を立てる際には大いに活用し、参考になりました。しかし、その見方を間違えると計画が崩れることも起こります。そこで、私なりの逆評定の活用術を書きましたので参考にしてみてください。
販売について
発売時期は各学期開始の少し前くらいです(Sセメスター[1学期]は3月末、Aセメスター[2学期]は9月末)。
販売場所は、生協書籍部のレジカウンターまで直接行く方法(レジに積んであります)が主でありますが、日時によっては屋外で時代錯誤社の方々が露店販売を行っていることもあります。
価格は400円です。
表紙は厚紙のため、持ち帰りや保管の際は濡れ・折れに気をつけましょう。
新入生は3月末の健康診断などの登校日についでに逆評定を狙うとよいかもしれません。
「逆評定」の記載内容
各授業ごとに次の13項目が記載されています。見る価値のある項目は太字で書きました。
①教員名…同じ科目でも教員によって内容等が全然違うので注意
②授業名
③鬼仏度…総合評価で良い方から順番に「神」「大仏」「仏」「鬼」「大鬼」となってはいますが、実際にはその通りでなかったりするので、明らかなハズレ(大鬼)を弾くためにしか鬼仏度は使えないです。
④評価方法…「期末」「小テスト/中間」「出席」「レポート」「発表」の有無。年度による変更(特に2020,2021年度の情報)に注意。
とある「鬼」の必修で比較的楽に高評価が取れたり、その反対に「大仏」のもので点数が伸びなかったりするので、鬼仏度判定をすべて信じるのはお話にならない。
⑤~⑫はA~Dの4段階評価で、Aのほうが良いということ
⑤単位期待度…東大では大鬼以外は基本的に単位は降ってきますので無視
⑥得点期待度…重要。Aならば検討の価値あり
⑦試験難度…コメント欄優先。
⑧出欠頻度…初回授業で先生の話を聞きましょう。
⑨予復習の手間…忙しそうなもの(C以下)は覚悟が必要です。
⑩説明の上手さ…C以下のものは何かしら問題があるということで外すことを考えましょう。
⑪授業への熱意…同上
⑫授業のおすすめ度…同上
⑬コメント…この記述を見るために逆評定を買っているといっても過言ではありません。アンケートの自由記述から上段が良い点、中段が悪い点、下段がその他情報と分けて記載されています。
評定欄よりもコメント欄を重視せよ
前の項でもコメントが重要ということを述べました。ではどんなことに注目すればよいのかを説明します。
授業の受け方の参考になる
「私語厳禁・携帯禁止」や、出欠を取る授業で「遅刻厳禁」と書かれていれば、ルールを事前に知ることができます。また、よい方向では「発言すれば加点」という授業がたまにあり、それを知っていれば予習などをする価値があります。
あとは、スライドか板書か、資料配布をするかしないか(する場合は授業前か後か)、内容の判読は可能か、というような授業スタイルの違いも分かる場合もあります。
先生との相性がわかる
授業の雰囲気についての記述にも配慮する必要があります。例を挙げれば、楽しくもない授業で重苦しい雰囲気の中で指名される授業は避けたいです。楽しく先生や他の学生と議論できるような授業は内容も身につきます。
重視する点としては先生に質問をしやすいかどうかです。質問に好意的に答えて下さったり、メール対応が良かったりする先生は素晴らしいです。一番好きだった授業の先生はSlackも立ち上げて学生と議論や雑談もされたりして最高です。反対にメール返信すらできないような無礼な教員がいるのも事実です(特に文系学者には常識すらなく就職できなくて大学に縋りつくような者もいます)。
点数評価のクセがわかる
これは大事です。この世には2種類が存在する、点数を配布して下さる先生か、出し渋りをする者か。当然100%が前者を選びますね。なので、できる限り当たりを見つけるようにしたいところです。
そこで「優3割規定」の存在がどうなるのかというのは最大の問題点となります。
先生によっては事情説明を覚悟のうえで優以上を配布して下さることもあります。また、規則を適用する場合は、試験が簡単で差がつかずに、少しのミスで79点以下にされる事案も発生します。
また、履修学生の属性についても書かれることがあります。内容自体が難しい授業では「ガチプロ」と言われる専門に特化した人々が多いために「優3割規定」で3割程度からすぐに追い出されるため、そうした記述には注意が必要です。
単位認定基準がどれくらいかわかる
進振りにおいて人気の低い学科をもともと希望している人は、進級基準さえ満たせばよいので、興味のない科目は最低限のことで済まして他のことに時間を割くべきですが、逆評定のコメント欄には単位の出る基準が書かれていることもあります。例えば、「3回のレポートで1回でも出せば単位はくれる」「出席点のみで単位確定」というようなものです。
また高得点を目指す人でも、単位は必須だが点数評価ではなく合否のみの評価の科目(主題科目・初年度ゼミナール理科)での負担は最小限にしたいという人にとっては必読の内容です。
他媒体でも二重にチェック
逆評定には過去数年分のアンケートの結果が混じっています。ここ数年で傾向が大幅変更になる例がたまにあるため、逆評定のみではうまく判別ができません。次の小見出しで実際の事例を見ていきます。
逆評定を鵜吞みにしたために起きた失敗
「○○実習」という実習系の選択授業(つまり「優3割規定」対象外)で、もともとは逆評定に課題をきちんと出せば好成績(90~)が来ると書かれておりましたが、実際はここ数年で課題をきちんと出しても低い評価にされたという報告がSNS上にたくさん出てきました。
優3割規定対象外で出そうと思えば高評価を配布できるにもかかわらず、低評価にされるハズレ授業に急に化けたということです。
※ここで「きちんと」というのは、課題は最終結果が一致するタイプの問題で、できる人と最後の部分を照合したうえで期限内に提出した人も低評価になったということです。
ハズレに化けた授業をできる限り回避する方法
ではこのような変更にどのように対策すればよいかというと、上でも少し出てきた「SNS」での評判確認です。成績発表時期にはTwitter, Instagramなどにたくさんの成績表や授業口コミが投稿されます。逆評定とは何が違うかというと、逆評定にアンケートを出していない人の感想や、文字数の関係上載せられなかった感想が見られたり、日時表示があるので何年度の情報かがわかるということです。
それでも片っ端から検索するのは時間がかなりかかりますので、逆評定であたりをつけてから行うことをオススメします。
あとはシラバスも念のため確認すべきです。評価方法がここ数年で変更(レポート、試験)となる場合があったりしますが、シラバス(担当教員が授業計画・評価方法・教科書を記した授業紹介)にたいていの場合書いてあります。
最後に
逆評定は使い方に注意が必要ですが、たくさんの授業の評判を適度な情報量で一度に見られて、コメントも掲載されているという大変便利なものです。ぜひ新学期の履修計画の際に使ってみてください。