第6問 物語
問1 出来事の順番に並び替える
- ②Julia hat sich für ein Austauschjahr beworben.
※”sich für et bewerden“(~に応募する・申し込む)
- ⑤Julia hat Informationen über ihren Wohnort in Japan bekommen.
Austauschorganisationが出発の半年前である9月末(Ende September, ein halbes Jahr vor der Abfahrt)になってやっと町について知らせてきた。
- ①Julia ist mit anderen zum Karaoke gegangen.
最初の登校日の夕方(am Abend des ersten Schultages)
- 基準Julia ist einem Kendo-Klub beigetreten.
最初の登校日から数週間後(einige Wochen nach dem ersten Schultag)
- ⑥Julia hat einen traditionellen Tanz mitgetanzt.
7,8月の夏祭り(im Juli und August Sommerfeste)
- ③Julia hat Tokyo besucht.
秋(Herbst)に国際試合Wettkampfを見に行くため。
- ④Julia hat eine Abschiedsrede auf Japanisch gehalten.
今回はかなり時系列が本文の順番と前後していて難しくなっていますが、時を表す語句がヒントになります。
問2 図表問題
第4段落の最も気に入った食べ物についてです。
Ich habe jedoch am liebsten gebratene Nudeln mit Gemüse und Fleisch bei meiner Gastfamilie gegessen.という文章から、
・麺を野菜と肉と一緒に焼いた
・迎えてくれた家族のもとで食べた
ことがわかり、①が正解です。つまりyakisobaですね。
問3
第3段落のクラブ活動についての部分で
Ich hatte in der Woche nicht nur abends, sondern auch morgens früh (und manchmal auch am Samstag!) Training.
と言っているので、④「授業前にも練習している」が正解です。
問4
第1段落の最後で
Denn das Wichtigste für mich war nicht der Ort, wo ich gewohnt habe, sondern die Menschen, die ich getroffen habe.
(私にとって重要なことは、生活した場所ではなく、出会った人々であった。)
と述べられていますので、③「知り合った人が大事である」が一番近いと考えられます。解答根拠の場所が問の順番通りに進まないところが、解きにくさの原因であるように感じました。
問5 内容一致
私は片方間違えました。
②は、第5段落で”Weil ich oft mit meinen Freundinnen zusammen war, hatte ich nach ein paar Monaten im Alltag kein Problem mehr, mich auf Japanisch zu unterhalten.”と書かれていることから一致します。
①⑤は明らかに書いてないです。③は「逃げ出したくなった」が間違いで「幸せな瞬間を経験できた」と書かれています。
④⑥について第2段落を検討していきます。私は”schüchtern”の意味や構文が分からずに間違えてしまいました。
Da habe ich ganz neue Seiten an mir entdeckt:
(そこで私は自分の新しい側面を発見できた。)
Bisher war ich eigentlich immer zu schüchtern, um vor anderen zu tanzen.
(今まではとても内気で、人前で踊ることができなかった。)
※”schüchtern“「内気な」
※”zu+形容詞・副詞, um … zu不定詞“「とても~で、…できない」
Aber bei dem Sommerfest habe ich vor vielen Leuten einen traditionellen Tanz mitgetanzt.
(しかし、夏祭りではたくさんの人々の前で伝統的な踊りを一緒に踊った。)
これにより消去法で④「人前で踊るのが好きだった」が消えて、⑥が選べることになります。知らない単語のせいでここまで影響するなんて…
以上より答えは②⑥です。
※2つマークすることに注意。1つのみマークして間を空け忘れると以後の回答欄がずれます。
第7問 記事
問1
Klara versucht, menschliche Emotionen zu verstehen, indem ( 45 ).
(~ために、クララは人間の表情を理解しようとする。)
①とても速く距離(die Entfernungen)を計算する
②人間を正確に観察する(beobachten)
③人間に直接質問する
④人間の身体運動を真似する
正確に読み進めていくしかありません。以下が訳です。②か④かで迷いましたが、人間の動きは、真似する対象というよりは、感情を見分けるという目的のための手段という扱いであるため、②が正解です。
<第1段落>
ノーベル文学賞受賞者であるカズオイシグロ氏の小説『クララとお日さま』(独題: Klara und die Sonne)は、近未来を舞台として、あるロボットにより語られる。この近未来では、人工知能(AI)を持った人型のロボットが10代の人向けに「人工の(künstlich)友達」として売られていて、彼らと家族の中で暮らす。クララはコンピュータであるので、幅広い知識がありとても速く情報を処理する(verarbeiten)。例えば、個人の年齢を正確に当てるだけではなく、顔の表情・体の動き(姿勢)・言語を助けとして(mithilfe von ~)人間の感情を見分ける(ein|schätzen)こともできる。しかし、クララは本当に気持ち(das Gefühl, pl.-e)を理解していることを意味する(heißen)のか?それと自身で気持ちを有するのか?この問いは私たちを小説のテーマに導く。もしも人工知能ロボットが人間のように意識(das Bewusstsein)と感情を有するならば、私たち人間に対して何を意味するのだろうか。
問2
Einige Philosophen im 17. und 18. Jahrhundert glaubten, dass ( 46 ).
(17,18世紀のいくつかの哲学では、~ということを考えていた。)
①機械でも哲学を作り出す(bauen)べきである
②多くの研究家がとても簡単に人間を機械と比較する(jn/et4 mit et vergleichen)
③人間は本当に機械のようである
④機械は人間の命令のみに従うべきである
17,18と書かれている本文中の該当箇所を見ると、③が最も近いです。個人的には③の文章を”sind”から”werden”に変えた方が良いと感じますが…
問3
Die KI-Forscherin Spiekermann denkt, dass KI-Roboter nicht wie Menschen werden, weil sie ( 47 ).
(人工知能研究家であるSpiekermannは、人工知能ロボットは人間のようにならないと考えている。なぜなら…からである。)
①人間のようにあまり複雑に知覚できない
②自ら話すことができない
③人工知能研究家の命令を実行できない
④本当の人間の体を持っていない
Ihr fehlt die Komplexität der menschlichen Wahrnehmung.
という部分が重要になります。”jm/et3 fehlen et1“「(3格)に(1格)が足りない」という重要表現が転がっているため、目につきやすかったと思います。作文で用いる際は格に注意です。これより、①が正解です。
<第2段落>
特に17,18世紀にヨーロッパのいくつかの哲学が、人間とこの世が機械のように機能するだろうという想像[表象] (die Vorstellung)を有していた。今日でも多くの人工知能研究家はこの単純なたとえ(Vergleichen)について警鐘を鳴らしている(vor et warnen)。人工知能研究家であるSarah Spiekermannは次のように言う。「自ら(selbstständig)習得出来て話せる場合でも、機械は命令しか実行し(aus|führen)ません。人間的な知覚(Wahrnehmung)の複雑性がそれには欠けているのです。それゆえ、機械は決して人間のように世の中に参加したり、あるいは主観的な人間の感情に対して同情したりすることができません。」
(注)”Vergleichen”(英: compare)の訳についてご指摘を頂いたため修正しました。「比較(対比)」のほかに「たとえ(直喩)」という意味があります。動詞でも用いられ、例文としては以下のもの(センタードイツ語2016)があります。
Man vergleicht das Gedächtnis oft mit Schbladen. (記憶はしばしば引き出しにたとえられる。)
ご指摘いただいた方、ありがとうございました。
問4
私は間違えました(③)。問3の部分(人間のような知覚の複雑さを持っていない)に引きずられました。
Für Klara ist es selbstverständlich, dass ( 48 ).
(~ということはクララにとって自明である。)
①人間は感情を持っていない
②それは自身で感情を持っている
③それは人間の感情を理解できない
④人間は自分たちの感情を理解できない
問2,3とは違い、問題文にどこを参照すべきかのヒント(=固有名詞、数詞、文章で登場頻度の低い表現)が無いことに加えて選択肢の表現も本文とは異なるが問題を難しくしています。選択肢を見ると、クララと感情との関係についてのもので揃っているため、そうした部分を探してみると下の訳の黄色下線ぐらいしか見当たりません。
Klara scheint genau wie wir Menschen zu denken und zu fühlen.
「ようである」という人間の推測の域を出ない表現ですが、これ以外は解答根拠が見つからないので、②が正解ということなのでしょう。非常に分かりづらい問題でした。
<第3段落>
イシグロ氏の小説は題材である意識と感情は、人工知能の中にどのように存在しているのだろうか?その文章はロボットのクララの視点で語られていて、クララはちょうど人間のように考えて感じているようである(scheinen zu不定詞)。クララ自身も時々幸せであり、時々悲しくなったり(traurig)、心配したりし、自分が感情を持っていることに疑いを全く持たない。
問5
KI-Roboter mit Emotionen ist ein zentrales Thema des Romans, aber ( 49 ).
(感情を持つ人工知能ロボットは小説の中心の題材であったが、~)
①著者自身が語ることも重要である
②技術的な設計図(m.Bauplan, pl.Baupläne)も人工知能ロボットに対して重要である
③その小説は人間社会の中での共生のような題材も扱っている
④その小説は17,18世紀の人工知能研究のような題材も扱っている
これまた文章中との対応を見つけるのが難しい問題でした。しかし、①②④については全く関係ないと判断出来て③が残ります。直接当てるには、第4段落最後の
Ishiguros Roman zeigt uns mögliche Gemeinsamkeiten von KI-Robotern mit Menschen und fragt uns, welchen Platz sie in der Gesellschaft haben sollten.
という文から「人間とロボットの関係」が重要になることが分かり、”Platz haben“(居場所がある)という表現が分かっていれば尚更分かりやすかったであろうと考えられます。
<第4段落>
それはさらに次の問いに導く。もしも人工知能ロボットであるクララが独自の意識を持っていたとしたら、一体人間との違い(m.Unterschied)は何であろうか?クララが個人性を有しているとも言えるのだろうか?もしもクララが人間のように考えて感じるのであれば、人間はそれを人間として扱わなければならないのか否か?もうクララにこれ以上必要とすることがないならば、何をするべきなのか?それを投げ捨てなければならないのか?イシグロ氏の小説は私たちに人工知能ロボットと人間のあり得る共通点を見せて、社会(f.Gesellschaft)においてどんな居場所を持つ(den Platz haben)べきであろうか質問している。
<第5段落>
『クララとお日さま』は人工知能を扱うのみならず、人間関係(Beziehung)、宗教または忍耐のような他の重要な題材を扱っていて、考えること(Nachdenken)へと招待している。
問6 文章を書いた目的を選ぶ問題
私は間違えました(②)。ロボットと人間が一緒に暮らすということから②に行ってしまいましたが、学習能力を合わせるかどうかは言及されていませんでした。
第1段落の最後
Diese Fragen führen uns zum Thema des Romans: Was bedeutet es für uns Menschen, wenn KI-Roboter ein Bewusstsein und Emotionen haben wie ein Mensch?
という部分から、「人工知能ロボットが意識と感情を持った場合どうなるのか」ということについて考えさせ、第4段落でクララ(=人工知能ロボット)の扱いについて述べられているため、④が正解です。至る所を見ないといけない上に直接言及されていないため、何をしたらよいのか分からない問題でした。
問7 文章のタイトルを決める問題
( 51 ) ~Über den neuen Roman von Kazuo Ishiguro
①Haben nur wir Menschen Gefühle? (私たち人間だけ感情を持っているのか?)
②KI-Roboter lesen am liebsten Zukunftsromane (人工知能ロボットは未来小説を読むのが好きだ)
③Wie baut man selbst KI-Roboter mit Emotionen? (どのようにして感情を持つ人工知能ロボットを作り出すのか?)
④Ein KI-Roboter aus dem 17. Jahrhundert (17世紀からの人工知能ロボット)
消去法で決めます。②④は書かれていません。③は人工知能ロボットの作り方には焦点は当てられていません。よって①が正解になります。確かに人間でないもの(ロボット)の感情の存在の可能性について議論していたため合っているだろうと判断できます。
まとめ
かなり難しい問題でした。語彙レベルが高いのみならず、解答根拠が分かりづらいものが多かった印象を受けます。共通テストの平均点の中間発表によると下の表のようになりましたが、ドイツ語が明らかに点数が低いです。これでは英語以外に勉強しているメリットが少ない(英語とわずか5点差)のでもう少し簡単になることを期待しています。
科目 | 平均点 |
英語(合計) | 118.11 |
ドイツ語 | 123.67 |
フランス語 | 136.02 |
中国語 | 163.28 |
韓国語 | 158.88 |